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高校の校舎に鳴り響くチャイム。
授業が終わり窓際の席から外を見下ろすと、女子生徒に手を引かれ中庭に出る、明るい髪の男子生徒が目に止まる。
離れた場所からでも分かる均整のとれた細身の体と、整った顔立ち。男は長めの前髪をかき上げ、手を引く女に笑顔を見せた。
「莉子、どうかした?」
不意に話しかけられ、莉子は目の前に立つショートヘアの小柄な女生徒に首を振る。
「ううん、別にどうもしないよ。奈美」
また外に目を向ける莉子の視線の先を見て、奈美は眉をひそめた。
「あれ翔君だよね。いいの?」
「友達だろうし、いいよ」
奈美は外を見ながら、莉子の言葉に溜め息をつく。
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