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「ああ、ここから見てたんだ。たった今上がって来たとこ」
外を見て焦る奈美に、翔は気にする様子なく明るい笑顔を見せた。莉子はそんな翔を眩し気に見つめる。
石橋翔は、莉子の彼氏で同じ3年。
そして、入学時からの高校の有名人。
甘く整った綺麗な顔立ちに、柔らかな明るい髪。茶色がかった瞳は印象的で、趣味の良いシルバーアクセが彼の華やかな雰囲気をいっそう引き立てていた。
イケメンで軽く気がねない性格。
告白は断らない事もあり、絶えず彼女がいて誰とも長続きしない。そんな翔は、莉子の嫌いなタイプだった。
それなのに好きになり…付き合ってみればすぐに冷めるだろう思い、告白したのが10ヶ月前。
「翔来てくれたのは嬉しいけど、うちのクラスに何か用?」
気まずそうな奈美を助けようと、莉子は話しかける。
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