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とりあえず、私はヒカルに手術を請け合う事を約束した。
それから半年間は瞬く間に過ぎた、と言っても過言ではないだろう。
ヒカルの体調を随時検査しながら、手術の準備は進められた。
確かに、ヒカル自身には手術は必要だった。誰の目から見ても、今のまま、年老いていくのはありえない。内密だが、誰もが手術には賛同するだろう。しかし、私は。
正直なところ、私は怖かったのかもしれない
みんなから神の手と崇められ、そしてそれを誰よりも分かっていたが、もしも、この手で。
ヒカルの命を縮めるような事があったら……
眠れない日々は続いた。
万全な準備で、これ以上調べる所がないというほど徹底的に調べ上げたにも関わらず、えもいわれぬ恐怖が私を襲った。
そして、煙草の量が増えた。
「随分と煙草臭いじゃないか」
宿直室のソファーに寝そべって、煙を上げている私の耳元で声がした
ドアを開けた音が聞こえず、私は飛び起きた。そこにはヒカルが立っていた
彼とは最近、検査をする立場として会っていただけで、話をする為に改めて会うのは久しぶりだった。
だが、ヒカルの顔色があまり良くない事に気がついた
私はその事を問いただしたが、彼は大丈夫、何でもないの一点張りだった。
体調が悪いと手術が延期される。
それを恐れ、嘘を付いているんじゃないかと私は彼に迫った。
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