サバイバル訓練

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燻んで濁り始めて居た黒龍の鱗は次第に、艶を取り戻し始めて居た。多くの全身にあった傷は、ゆっくりとだが確実に癒されて消えて行く。 切り落とされて落ちて居たはずの翼も、光に包まれてゆっくりと元に戻って行く。 「黒龍の過去って、人間や多くの生き物達を暴走して襲ったから封じ込められたんですよね?他に何か在るんですか?」 そう言った雷帝に、哀しそうにルカが言った。 「だよねー。人間はそこだけしか知らないもんねー。哀しいねー」 そう言ったルカの言葉に雷帝が言う。 「え?本当に何か有る?」 そう言った雷帝を、冷たく見てルカが言う。 「人間は都合の良い所だけを記録するんだよねー。彼はねー人間が戦の道具にしようとして襲われたんだよねー。で、その時に妻と漸く授かった幼い息子を殺されてるんだよねー。人間にさー。 でー正気を失っちゃったんだー。凄く大事にしてたからねー。龍ってさー子どもが凄く生まれにくいんだよねー強いぶんあんまり死なないからさー増えちゃうと困るでしょー?だからそうしたんだけどねーちょっと考えちゃったなー」 ルカの言葉に絶句する雷帝。黒龍に滅ぼされた国が有ると聞いて居る。それが、その国なのだとしたら・・・・・・・。悪いのはどちらなんだろ。
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