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王都の確認を終えたのは、明け方だった。
我は大きく身体を伸ばして背伸びをしてから、射し始めた朝日を見る。
「思ったよりも、邪魔な者が多かったから、少し時間が掛かってしまったがやむを得んか。全く。面倒な輩の多い街だな」
そう言って振り返った先には、積み重なった人の山が出来てた。
いや・・・・・・絡んで来る輩が多かったのだ。金目の物を出せとな。大して強くも無いのに、強がって威嚇して来るから、少し灸を据えてやろうかと思ったら、数を増やして来るからなあ。
さて。面倒ごとになる前に戻るとするかな。人間の相手は面倒だからな。
そう思って、転移しようとした瞬間だった。周囲に結界が張られた。転移防止の結界だ。
我は、眉を寄せる。勿論、警戒はしている。この程度の防止結界ならば、強引に破ることは可能だろうが、そうすれば周囲の建物を破壊してしまう事になる。
我は、力技は得意だが細かい事は苦手なのだ。だからそれは避けたかった。我は大きく息を吐いて言った。
「それで我を足止めしてどうする気なのだ?」
そう言って、暗い正面を見据える。すると、そこから人影が現れ真っ赤なローブを纏った人物が姿を見せた。
その人物は、ゆっくりこちらに歩いて来ると言った。
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