邪神降臨

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床にへたり込んだままの男の子を俺は抱き上げて魔法陣の外に、下ろすと言った。 「お前は、魂だけの存在となって邪神と癒合されるはずだったんだ。そのまま長い時を過ごさなければならないはずだった。間も無く此処に姿を現わす邪神を見てもまだ、その方が良かったと言えるのか?」 俺はそう言いながら、魔法陣の中央に戻り変化し終えた魔法陣に魔力を流し込む。 魔法陣は強い輝きに包まれ始めると同時に直ぐに今度は真っ黒な靄を吹き出す。それは魔法陣の中を何も見えないほどに覆い尽くす。 暫くして、漸く魔法陣の中の靄が消えた時。そこには、立ったままの俺と俺のすぐ横に宙に浮かび上がった男が居た。 そいつは真っ白な髪に浅黒い肌をした男で、吊り上がった目と吊り上がった口元。満面の笑顔を浮かべて周囲を見渡す男の身体には気味の悪い文様が蠢いて居た。 常に形を変化させる文様は、不気味さを感じさせる。すると、拘束されてる男が無理矢理に顔を持ち上げて叫ぶように言った。 「じゃ、邪神様!邪神様だ!我に、我に約束の力を!解放して差し上げたのは我です!」 そう言った男を面倒そうな表情で見て、邪神は言った。 「ああ。お前かあ。俺様に色々煩いことを言ってたのは。まあ~暇だからちょっとだけ~手を貸したりしたけどさ~もう必要なくね~?」
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