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城へと向かう馬車の中で溜息をついた俺。
「はあ・・・・・・・・・・。心底面倒です」
そう言った俺にクスクスと笑うのは、勿論妹のアリス。今から城で新年会が行われる。多くの貴族達が王に挨拶を行う為に集まって来る。
そして、同時に多くの貴族達がコネを作る為に集まるのが、新年の集まり。欲望の集まる場所。
全く面倒しか見えて来ない。
俺とアリスは、父の代わりに新年会に参加する為に今から城に向かって居る訳だが、一応衣装は俺が手に入れた最高品質の、生地を使用してる。
アリスにそんな安っぽい物は着せられないからね。最高の物を揃えるさ。
城について直ぐに、俺たちは王の待つ部屋に案内された。直ぐに挨拶をするのだが、王はそれを手で制して言った。
「堅苦しい挨拶は良い。まずは侘びよう。知っていて、手出しが出来なんだことを。申し訳なかった」
そう言って椅子から立ち上がってなんと、頭を下げた王の振る舞いに慌てるアリス。
「な!おやめください!王様!そんな事は思っておりませんから!」
慌てふためくアリスに、クスクスと笑いながら俺は言った。
「王様?常日頃の、威厳が全く感じられませんが?」
俺の言葉に、王は楽しそうに笑い出した。
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