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怒りに絶句するロジャーに、俺は羊皮紙を封筒にしまいこんでボックスに入れると言った。
「本当に残念ですよ。貴方には少しだけ感謝をしてたんですが・・・」
その言葉に、驚いた表情で俺を見る父様に、カレンを撫でながら俺は答える。
「貴方が僕を確実に殺す為にと魔法陣をすり替えて森の奥へと転移させられるようにしたおかげて、カレンと出逢えましたからね。
まあ、沢山死にかけましたけどね。おかげで赤かった髪も、気がつけば真っ白ですよ」
そう言って少しだけ長い自分の髪を撫でる。まるで、慰めるように俺に体を擦り寄せるカレンの背中を俺は撫でる。
「ふん!たかが猫の使い魔ではないか!それに、猫の使い魔に人型の部下だと?嘘をつくにも程がある!何処かで雇ったゴロツキに決まっておる!
どうじゃ!こいつが言った契約金の倍の金額をはらうぞ!わしにつかぬか?わしの別邸の話もどうせ作り話じゃろうしの!」
縋るように天井から未だに上半身だけを出しているカレンの部下に言うロジャー。
今まで無言でロジャーを睨んでいた部下は、目を細めて言った。
「我らは金でなど雇われてはおらん。誇りと力に掛けて、従うべき相手を決める。故に、我はカレン様とその契約主のマーク様に従うのだ。お前など、話にもならん」
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