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俺は、右手を前に出した。すると、床から黒い影が伸びてきてその上に、あの印が乗っていた。
それを父様に渡して、言った。
「王に報告して下さい。許可は取って有りますから。何時でも良いそうですよ」
俺の言葉に、チラリっとロジャーの居なくなった執務机を見た。そこには、椅子だけが何事も無かったかのように戻って居た。
「ロジャー・・・・様・・・・・いや・・・・・父上は?」
父様の言葉に嫌そうに顔を歪めてカレンが言った。
「あんなの戻してやらなくても良いのだぞ?お前を苦しませる原因を作った愚か者ではないか!」
俺は首を振って言った。
「いや。違うよ。カレン?カレンに出逢える切っ掛けをくれた恩人だよ」
俺がそう言うと、カレンは顔を真っ赤に染めて俯いた。そして指を鳴らす。
すると、床に黒い影が現れてそこから浮き上がるようにロジャーが姿を現した。だが、ロジャーには、既に命は無かった。倒れたまま動かないロジャーに悲しそうにする父様。
「マーク・・・・・」
俺は頷いて言った。
「残念ですが、決して許される事ではないのです。父様。御覧になられたはずです。あの書類に書かれていた情報は、間違いないのですから」
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