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{え?本当に?}
思わずそう言ってしまった俺に不満そうに尻尾をぶつけるルカ。そして、それと同時に方法が俺の頭の中に浮かび上がる。そうか、こうすれば良いのか。
俺は、ゆっくりと力を纏める。その頃には、蔓を悉く切り落とされたキメラの本体が浮かび上がって来た。
周囲に漏れ始める魔力も格段に増えている。さて。この感じは。
魔樹に精霊も入ってる、そして龍の気配もする。ああ、そうか・・彼が呼んだ魔樹にあの上級貴族の生徒の呼んだ精霊と使い魔の魔力も混ざって龍も呼び出されたのか。
と言うことは、魔樹以外の二体にはそのまま帰って貰わないとならないけど、その為にはあの貴族の生徒の魂が必要って事か。
では、魔樹だけを分離して解放するか。そこまで理解してから、俺は瞬時に走り込んでフレッドとキメラの間に割り込んだ。
「な!何を!」
思わず怒鳴るフレッドに、俺は言った。
「下がって。此処は、僕が治めるから・・・・・」
そう言って、キメラの方に向き直ると言った。
「大人しくしなさい。直ぐに開放して貰えるから」
身体の中から巻き起こる命の冒涜への冷たい怒りが、俺の中に巻き起こる。キメラの魂の苦しみや叫びが伝わって来るような気がした。
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