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―駅前のショップ
「お客様とってもお似合いですよーー。こちらは夏の新作で五色展開になってまして、よろしかったらサイズお出ししますよ?」
「いやぁ、あたしにはちょっと高すぎかなぁ……ってアイちゃんホント接客こなれてるね――」
「…へっへ。もう無意識に出てるから。客なら犬にでも接客できる境地だもん。ところでアンタ、この時間にウチに来るってことは、もしかしてお昼おごられに来たとか?」
「ありがとうございます!!」
「まだ何も言ってないし」
―近くのスタバ
「…で、どう?これからどうするか見当くらいついた?」
「えへ」
「えへじゃねーよ、えへじゃ」
「うわぁ――怖い!!あたしすごく不安になってきた!!やっぱ彼氏がなぁ…彼氏はアンタに甘すぎるんだよ。そして、あんたは流されやすい!言っとくけどアイツは頭ん中が青っくさい10代のめでたい奴よ?ホントはアンタがしっかりしなきゃなんだよ――現実をもっと見てさ。
あんた達、2人の間が気まずくなるような真剣な話、してないでしょ?」
「…………そーかも」
「あんた、仮にアイツが浮気して勘づいてても怖くて携帯覗けないでしょ?
アンタは人一倍自分が傷つくの避けてるもの」
「じゃあアイちゃんは彼氏と、どう付き合ってるのさ」
「携帯見たら大学の女とメールしてたから殴ってやった。サイフから風俗の会員証が出てきたから殴ってやった。ビール瓶で」
「さすが!!」
「ま――ね、しつけはちゃんとしとかないと」
「はは。でもいつまでも学生やってることには、文句いわないんだ」
「だってアイツは普通の奴だもん。これから長くて退屈な人生が待ってるってアイツわかってるし。だからギリギリまで遊ばせてやろうとは思ってるんだよね。
ま、それでもあたしも甘いけどね。働いて食べる、コレ人として当然のことだもん。
…で、今日彼氏は?」
「あー、なんか仕事たてこんでて3日帰ってない。バイトのくせに変に頑張ってんだあの人」
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