Ⅱ.非現実的過ぎやしませんか。

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おずおずと声をかけると彼は表情一つ変えず 「なんだ」 と答えた。 「あの、ええと」 な、なんて聞けばいいんだろ。えーと。 僕がまごついていると、突然大きな音を立て障子が開かれる。 「おっ、ほんとに目覚ましてる。すごいな」 可愛らしい声に、二カッとした笑顔。小柄な、まだ幼さの残る風貌。 短い黒髪に大きな瞳の、男と同じく着物に帯刀したその少年は、僕の顔をまじまじと見つめた。 ……だ、だれだこいつ。 「お前の言うとおりだったな、華原」 彼は首だけ回し振り返る。と、彼の後ろから知った顔がのぞいた。
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