Ⅶ.いわゆる歴史的瞬間。

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心配そうな表情で僕を見つめる沖田さんに、ああ、と言う。 「大丈夫です。いつまでも寝てるわけにもいかないですし。……沖田さんが看病してくれてたんですか?」 そう尋ねると沖田さんは首を横に振る。 「最初は鶇さんや土方さんがついてたんですよ。今は近藤さんに呼ばれて二人とも外してますから、私が代わりに来たんです」 なるほど。……近藤さんに呼ばれた、というのは今日の報告かしら。果たして兄さんで役に立つのか。 とと、そういえば。 「えーっと、改めまして、助けてくれてありがとうございます」 お礼がまだだったなぁと思って、とりあえずそう言って頭を下げる。いやぁ、正直貴方が来てくれなかったら危なかったですし。 「いや、お礼を言われるほどのことはしてないですよ」 そういって、笑って見せる沖田さん。その顔を見つめて、僕は黙り込む。 ……どうせだから、聞いてみようかな。 「あの、なんで外出できないって言ってたのに、助けてくれたんですか?僕らまだ、知り合って間もない間からなのに……」 ……なんで、そこまで他人のことに必死になれるんだろう。デメリットがありこそすれ、メリットなんてないだろうに。
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