672人が本棚に入れています
本棚に追加
男は少年のことを藤堂と呼んでいた。
男も少年も、暗い色の着物に袴姿だ。
男はもちろん、少年も、帯刀している。
男は、ここを屯所、と呼んでいた。
……ついでに、僕らのうちは映画村の横にあるわけでもなければ、コスプレする変わった隣人がいるわけでももちろんない。
これらのことから察するに。まさかとは思うけれど。
「……ここは、新撰組……?」
「しんせんぐみ?なんの話だ?」
藤堂、と呼ばれた彼は、不思議そうに呟く。だ、だよねー。そんな馬鹿な話、あるわけないよねー。
もしそうだったら、僕らタイムスリップしてることになる……。
「ここは、壬生浪士組、屯所だぜ?」
し……え。
……マジですか。
最初のコメントを投稿しよう!