Ⅱ.非現実的過ぎやしませんか。

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男は少年のことを藤堂と呼んでいた。 男も少年も、暗い色の着物に袴姿だ。 男はもちろん、少年も、帯刀している。 男は、ここを屯所、と呼んでいた。 ……ついでに、僕らのうちは映画村の横にあるわけでもなければ、コスプレする変わった隣人がいるわけでももちろんない。 これらのことから察するに。まさかとは思うけれど。 「……ここは、新撰組……?」 「しんせんぐみ?なんの話だ?」 藤堂、と呼ばれた彼は、不思議そうに呟く。だ、だよねー。そんな馬鹿な話、あるわけないよねー。 もしそうだったら、僕らタイムスリップしてることになる……。 「ここは、壬生浪士組、屯所だぜ?」 し……え。 ……マジですか。
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