Ⅱ.非現実的過ぎやしませんか。

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……怪我? 「鶇、怪我したのかい?!」 「かすり傷だ。心配するな」 立ち上がりかけた僕の頭をぽんぽんとたたき、鶇は学ランをたくし上げて腕を見せた。 巻かれている包帯が血の少しにじんでいる。学ランの破れ具合から、切り傷……しかも刀で斬られたんだとわかった。 ……なんで、こんな……。 「俺が手当てしてやったんだ。大丈夫、傷も深くない。心配することないぜ」 「そう、ですか……」 あぁ、わからないことだらけだ。突然幕末にタイムスリップして、襲われるなんて。 呆然とする僕に、もう一人の男がいった。 「兄貴にも聞いたんだが、襲われた理由はわからないんだな?」 僕がうなずくと、相変わらず無表情でそうかと答えた。
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