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「カバン取ってくる」
「うん」
僕も急いでトーストを口に押し込む。
熱いコーヒーを四苦八苦しながら飲み終えると、ぼろぼろの革鞄を持った鶇が戻ってきた。
「ちょっと待って。すぐカバン取ってくるから」
伯母さんにご馳走様と言って、急いで鞄を取って戻ってくる。
「行くぞ、真」
「はいはい。じゃあ、行って来ます」
「いってらっしゃい。気をつけてね」
手を振る伯母さんを横目に、僕らはそろって玄関を出た。うちは5階なので、当然のようにエレベーターに乗る。1のボタンをぽちっとな。ランプがついて、扉が閉まった。僕らはそのまま不思議な浮遊感に身を任せる。
チーンとベルが鳴って、扉が開いた。人気のないロビーを無言のまま抜け、重たい外への扉を開ける。鶇が。
そして足を踏み出し……すぐに視界が暗転した。
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