Ⅱ.非現実的過ぎやしませんか。

3/29
前へ
/129ページ
次へ
僕が何も言えず黙っていると、彼は襖を閉めながら 「どこか悪いのか」 と尋ねてきた。 ……状況把握が追いつかないんだけど。 とはいえ、心配してくれている相手にいつまでもだんまりじゃあ失礼なので、とりあえず返事をする。 「いえ、大丈夫です」 「そうか」 それだけ言うと、彼はなれたように刀を腰から抜き、その場に腰を下ろした。 彼は僕と話すつもりはないらしく、そのままぼぅっと座っている。 …………。沈黙ターイム。僕はどうしたらいいんだろうか。 ……まぁ、いいや。とりあえず、状況把握、状況把握。 ええと。たしか僕は、鶇と一緒にマンションを出ようと……あれ、そういえば鶇は何処だ。 うつむかせていた顔を上げ、男に視線をあわせる。えっと。 「……あ、の」
/129ページ

最初のコメントを投稿しよう!

672人が本棚に入れています
本棚に追加