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僕が何も言えず黙っていると、彼は襖を閉めながら
「どこか悪いのか」
と尋ねてきた。
……状況把握が追いつかないんだけど。
とはいえ、心配してくれている相手にいつまでもだんまりじゃあ失礼なので、とりあえず返事をする。
「いえ、大丈夫です」
「そうか」
それだけ言うと、彼はなれたように刀を腰から抜き、その場に腰を下ろした。
彼は僕と話すつもりはないらしく、そのままぼぅっと座っている。
…………。沈黙ターイム。僕はどうしたらいいんだろうか。
……まぁ、いいや。とりあえず、状況把握、状況把握。
ええと。たしか僕は、鶇と一緒にマンションを出ようと……あれ、そういえば鶇は何処だ。
うつむかせていた顔を上げ、男に視線をあわせる。えっと。
「……あ、の」
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