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【由香里Side】
居酒屋の個室で、予想通り目の前の二人がギクシャクしてる。
この魔のトライアングルを作り出したのは他でもない私自身。我ながら趣味が悪いと思う。
佳奈はどうやらまだ気持ちを整理できてないみたいだし、京子はそれにショックを受けてる様子。
……さて、どうしたものか。
「そういえばこの子、この前一緒に飲んだ時もトマトジュースで顔真っ赤にしてたわ」
「だってあの時安藤先輩が~!」
「京子、お酒飲まなくても酔っ払いみたいよね」
「ふふ、二人とも面白いね」
一見和やかな空気に包まれてるけど、実はそれぞれ腹の底に黒いものを抱えている。
恋って怖い。
それまで時間を掛けて築いてきたものを一瞬で壊すほどの力があるから。
大人の佳奈はいいとしても、京子が暴走したりしないかと少し心配になった。
腕時計をチラッと確認すると、時計は午後9時を指している。
「そろそろ出ない?」
三人で席を立った時、私は京子に気付かれないように佳奈に耳打ちした。
「後で電話する。帰ったらメール送って」
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