夏の宴

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さてと岩見も立ち上がった。 上座に座る五十嵐の前は行列が出来てる。 (こりゃ下戸説はハズレかな?) 外れとわかった隊員でも、五十嵐に酌をするためにまだ待っている。 「やっぱり酒豪ですかね?」 隣にいた佐倉三曹が残念そうにビール瓶を持っていた。 「おまえも下戸に賭けた口?」 「まぁすね。いつも完璧だからこんなところぐらい不得手があったらいいなぁと思いましたが、やっぱり天は二物を与えるもんなんですね」 酒飲みの二物なんて喜んでもらう才能でもない気がするが。 そうこうしていると岩見の番になる。 「小隊長栄転おめでとうございます。……浜名泣かさないでくださいね」 こそりと耳打ちしつつビールを注ぐ。 「おまえ……嫌なやつだな」 「一応同期なんで」 笑いながらも飲み干した五十嵐に、グラスを渡される。 「来るときは持ってこいよ」
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