38人が本棚に入れています
本棚に追加
どのくらい泣いていたか、ふと近くで物音が聞こえてきた。
誰もいないはずの森でどうして物音がしたのか、私は身構えながら、音のした方に注意する。
ガサッ…とさっきよりも音が近くなった。
よく耳を澄ませてみると、足音も聞こえる。
私は意を決して、音のする方に声をかけた。
「だ、誰かいるの!?いたら返事してっ!!」
声を上擦らせながら、私は音のする方に尋ねる。
やっぱり、少し怖かった。
――いや、かなり怖い。
体を震わせながら、音のする方を睨むようにして様子を窺った。
すると、さっきよりも騒がしく物音が近づいてくる。
早くなった足音に私のキャパシティーが限界を超えた。
「キャ―――!!」
その場に尻もちをついて叫んでいた。
すぐ目の前に感じる何かの気配。
もう、何が何だか分からなくなって、パニックを起こす私。
「いやっ、来ないで!お願いだから!!」
「落ち着いてください」
「いやぁっ!!」
誰かの声が聞こえると共に伸ばされた手を思い切り払いのけた。
「痛っ……」
次の瞬間、苦痛の滲む声を聞き、はっとして正気に戻った。
.
最初のコメントを投稿しよう!