それはある日の転校生

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キーン…コーン…カーン…コッ…! 「えっ…!?」 神崎武見。どこにでもいる普通の高校2年生。夏休みを前に暑い中を普通に過ごしている。部活は入っていない。 「よーし!席に座れー!」 担任の教師が朝のHRにやって来た。これから武見の1日が始まる。 「今日はみんなに転校生を紹介するぞー?よし、入って。」 ガラララ… 教室のドアが開いた。するとそれまでざわざわしていた教室が一気に静まり返った。 「…うわぁあ…」 さらりと流れるような長い髪は細い腰の辺りにまで伸び、後ろで纏め、束ねている。凛々しく、決して物怖じしないその眼は真っ直ぐ前を向いていた。 「よし、今日からこのクラスに入る…」 教師が黒板にチョークで名前を書く。 「名前は鴉月 零夜(あつきれいや)だ。ほら、鴉月、みんなに挨拶。」 「…鴉月零夜と言う。みな見知り置くがよい。」 「鴉月さんだって…」 「…あんな人アニメの世界しかいないよな…」 鴉月零夜。今日から俺のいるクラスに入った超が付く美人で超が付くツンデレ…ではなくて強気な女の子だ。いやらしい事は考えてないけど…多分着痩せしてるな。 「席は…そうだな、神崎の隣りでいいか。神崎ー、仲良くしてやれよー?」 「は…はい…!」 ツカツカツカ… 「…よ…よろしく…」 「うむ…」 「……」 (うわぁ…こんな美人な子が俺の隣りかぁ…どうしよ…とにかく嫌われないように…って…何考えてんだ俺は…どうせこんなに美人ならいい人いるよなぁ…) 淡い期待は圧し殺し、朝のHRが終わり、授業が始まる。武見は鴉月の横顔をちらちらと見ていた。 「……」 (綺麗だなぁ…) 「ん…?」 「うっ…!」 「…君は私の顔を先ほどからちらちらと見ているようだが…何か私の顔に付いておるのか?付いているなら言ってほしい。」 「あっ…いや…!」 付いてますとも…!綺麗な眼とぷるりとした唇とかわいらしいお鼻が…! …とは言えず武見は黙ってしまった。 「…?変な男子だ…」 「……」 (あ~あ…いきなり変な男子だって言われた…) 「よーし!なら今日も暑いけどみんなダラダラすんなよー?」
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