それはある日の転校生

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ジャアァー… 「いちちち…!くそぉ…」 (こんな貧乏高校生をいじめるなんて…ってあいつらも高校生か…) 口の中が切れ、目の上や頬は青アザ…いわゆるマンガで見るような打撲傷を負った武見。ハンカチを塗らして、顔の打撲傷に当てていた。 キュッ…キュッ… 「ふぅ…」 (また母さんに何を言われるやら…) 「……」 「いちち…?あっ…!あ、鴉月さ…」 武見の背後に近付いて来た人の気配…振り向くと鴉月が複雑な表情で武見を見ていた。 「お前は何もせぬのか?!」 「えっ…」 「あれだけ殴られて…悔しいとは思わぬのか?!お前もあやつらと同じ男子であろう!?」 「…いや…そりゃあ悔しいけど…」 「ならば何故…!?」 「…あいつらは集団だからだよ。そりゃあボクサーとかヒーローみたいにすごく強い人だったらあんなやつらに負けないだろうけどさ…。それに…暴力は嫌いなんだよ。あいつらを殴ったって何もないし…それに…」 「そ、それに何だ…?」 「ああやって暴力でしか解決する事しか出来ない…かわいそうなやつら、って思ってるんだよ。」 「……っ…」 「とにかく…じゃないや、今日の事はみんなに言わないでね…?」 「…しょ、承知した…」 「ありがとう。じゃあ」 「あっ…」 …翌日… ガラララ… 「お、おふぁよう…」 「おう神崎…って!お前なんだよその顔!?」 「い…いやぁ…ははは…昨日ひょっと転んでしゃあ…」 (うぐぐ…!口の中を切ってて痛いから上手く喋れない…!) 「転んだだぁ…?だぁっはっはっはっは!だっせぇなぁ!馬鹿じゃねぇの!?」 「あははは!神崎って本当にドジだよねぇ!」 「あははは…」 「……」 ガタタ… 「おふぁよう、あちゅきひゃん」 「お、お早う…」 鴉月はすでに学校に来ていた。この時間に学校に来ているのは部活の朝練がある者か武見くらい。鴉月はまだ特に部活に入ってはいないが学校に来るのが早かった。 「えっひょ…たひか…ひょうは…いひひかんめは…はいく(体育)か…。ひぇんひぇいに言っへやひゅまへてもらほ…」 「…ぷっ…!」 「ほえ…?あ、あちゅきひゃん…?」 「い、いや…!すまない…!君の顔が…!」 鴉月は笑った。武見が腫れた顔をしていたからか、あるいは面白い喋り方か…笑った顔も綺麗だな…と武見は思った。
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