第三十話

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「離れな!椿!」 和傘が抜けずその場から離れようとしない椿に紅露は冷静に命じる。 「……はっ」 椿が顔を上げれば、銀の刃が天井に浮かんでいた。 それが一気に椿に襲いかかってくる。 「――チィ!」 椿は和傘から直ぐに手を離すとそのままの状態から大きく跳躍。 そして、後退する。 地上に降り注ぐ銀の刃による攻撃はまだ続く。 「こうなれば、吹き飛ばすのみ!“符陣”――」 「前に集中しろ!」 “符陣”を唱えようとした眼前に京がいたことに椿はやっと気付いた。 彼は自身の攻撃すら我が身に受けながら、椿に迫って来たのだ。 京の片手に握られた薙刀が椿の心臓を狙う。 「――っっ」 椿はその攻撃を反らすためにわざと片足を薙刀に刺させた。 「――無謀な戦い方ですわね。貴方、これは自分にも効果ある毒でしょう? 何を怒ってるか知らないけどこんなことしても、ただの犬死よ」 椿は片足を薙刀から抜き、その足で京を蹴り飛ばす。
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