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「椿さぁ、いつ優奈ちゃんに意見出来るほど偉くなったの?」
顔は笑っていたが優奈の目は笑っていない。驚くほど残虐な目をしていた。
「も、申し訳ございません!!わたくし……そんなつもりじゃ……」
椿は何度も優奈に向かって頭を下げた。
「もういいわ、それより」
紫姫と会話していた時のぶりっこ口調とはまるで違う高飛車な口調で優奈はそう返す。
「椿には他にやって貰いたいことがあるの」
凄んだ瞳を椿に向けてくる優奈。だがそれに椿は満足したように薄く微笑んでいた。
「何なりと申し付けを」
優奈の口がソレを告げる。
外へ出ていく椿を優奈は悠然と窓際から見つめていた。
「……優奈……」
消え入りそうな声で影が優奈へと話しかける。
「パパ……優奈ちゃんは大丈夫だからね……だってハナから誰も信用してないもの」
影に優しく手を当てながら、優奈はその言葉を口にした。
驚くほど、冷たく残虐な声で。
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