128人が本棚に入れています
本棚に追加
「弱いから、死ぬ――強い奴に弱い奴は殺される……俺を、殺したければ……強くなれ」
――強くなれ!!!
……ドクンっ
はねあがった心臓と共に彼女はその悪夢から目覚める。
「ハァ……ハァ」
呼吸を整える為に何度も何度も息をした。恐怖を誤魔化す為に。
「……また、あの夢か?」
彼女の心の内から声がそう呼びかける。
「ああ、目障りで最悪な夢だ――」
彼女は心の内からの声に吐き捨てるように返した。金色の髪を無造作にかきむしった。
「姉ちゃん、大丈夫か?!」
彼女の弟らしき人物がノックもせずにいきなりドアを開く。
バコオっ
さっきまで彼女が頭をのせていたもの、つまり枕を容赦なく弟らしき人物へと投げつけた。
「ノックぐらいしろ。何度言えば分かるんだ!」
「……すみません」
「可哀想な弟君だが紫姫(しき)の言うことが当たりだぜぇ♪」
紫姫――そう呼ばれた彼女のキレ具合に即座に謝る弟、そして弟の心の内からもまたからかうような別の声が聞こえてきた。
最初のコメントを投稿しよう!