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自分より年下の背が低い少女からこんな威圧を感じる訳がない。
無論、優奈は紫姫より年上だった。
正確に言えば、それは――優奈の生きてきた時が紫姫より長い……ということである。
「それで、新しい仕事は?」
紫姫は優奈と目すら合わせずに、用件を尋ねる。
「紫姫ちゃんは相変わらず優奈ちゃんのことが嫌いなのね」
クスクスと耳障りな声を響かせながら、優奈は紫姫をバカにしたように笑ってみせた。
「黙れ!!早く言えっ!!」
紫姫の背中から突然、刃の翼が生える。それが優奈に向かって伸びた。
カアン!!
「優奈様、大丈夫ですか?!」
その声も突然、時空から現れた。優奈を守ったのは和傘。そして声の主は、蒼い髪を後で一つでくくり、蒼い凛々しい瞳を輝かせた女性だった。
和服だが、どちらかというと給仕服に近いものを着ている。背は優奈より高く、紫姫より低かった。
「ありがとう、椿。優奈ちゃん怖かったわ~紫姫ちゃんがいきなり攻撃するんですもの」
椿と呼ばれたその女性は軽く紫姫を睨んだあと、優奈に近付き膝をついた。
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