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「……済まなかった」
正確には優奈自身ではなく、優奈、椿が所属している組織の情報力が紫姫と光騎には必要だった。
つまらない感情で上の機嫌を損ねれば、組織から追い出される。
「分かればいいの。今回の仕事はいよいよ“魔王”の“力”の捕獲よ」
「!!」
「紫姫ちゃんにとっても、きっと損にはならないわ」
優奈はそう言って妖艶な笑みを紫姫に向けた。
「“魔王”――」
紫姫の目の色が変わる――
それは強い“復讐”の色をしていた。
「全容は明日話すわ。楽しみにしていてね」
優奈は最初現れたときと逆の頭の方からだんだんと姿を消した。
同時に椿もそのまま消える。
「“魔王”……この時がやっと来たんだ……」
「紫姫、」
「大丈夫、意外と冷静だ。アタシは大丈夫、だ」
自らに言い聞かせるかのように、紫姫が呟く。
ガシャン……
「……?」
一階の方で何かを突き破ったようなそんな音がしたのに紫姫が気付く。
彼女は階段を降りてみた。
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