プロローグ

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「光騎……」 音の正体に呆れたように紫姫は溜め息を漏らした。 荒らされた家具。引き裂かれたカーテン。割れた窓。突き破られたドア。そして部屋の真ん中にはうつ伏せで死んだように寝ている弟の光騎の姿があった。 「……また、ケンカしたのか?」 紫姫は光騎の行動への確認を取るために問う。 「……してねぇし」 拗ねたように返してくる光騎。 「……負けたのか?」 「…………」 「察してやれ。紫姫」 何も言わなくなった姉弟に嫌気が差したのか、ワイバーンが面倒臭そうに言ってきた。 「そうか。アレほどケンカはよせと言ったのにな」 紫姫は別に怒ってはいないようだ。そんな彼女の態度に光騎は驚いたように顔を上げる。 「ボロ負けしたのに、姉ちゃんが怒らねぇなんて」 “異端”の力はもちろん使ってない光騎。だがそんなのは当たり前だ。“別離空間”以外では“力”は使ってはいけない。ソレが組織での掟。だがそれでもケンカっ早い光騎は敵わない相手でも直ぐにケンカしてしまう。
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