第一話-涙を拭って-

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時は過ぎ平成14年3月24日、午前7時10分 今日から私は小学1年生、まだ右も左も知らないただの一人の子供。 これから何を知り何を得るのかも知らない。 ただ一つ言える事は早く学校に行きたい。 静まり返った部屋の目覚まし時計の音が鳴り響き私は目を開ける 「…?」 寝ぼけ気味の私は鳴っている時計に手を伸ばしたと同時にベッドから落ちる…ドサッ 「……」 痛かった結構痛かったけど私は我慢して起き上がり、朝ご飯を作ってるだろうママの所へ足を運ぶ。 ガチャっとリビングの扉を開いて中に入りママを探す。 「ママー…?」 呼んでみたけど返事がない、何か怖くなって走って探し回ってみると台所に寝っ転がってるママを見つけて近寄り揺する。 「ママ、起きてよ」 反応しない、なんで寝ちゃったのかな、ご飯は中途半端に用意されてて火が点火しっぱなしの状態なのに。 もう一度揺すってみる 「ママ起きて」 やっぱり反応しない、ママの体冷たい布団かけてあげなきゃと思い火を消してベッドの布団を取り再びママの所に来て布団をかける 「ママ、こんな所で寝ると風邪ひくよ?」 頭をポンポンと叩いても反応しない、ちょっと寂しいなって思ったその時、玄関のチャイムが鳴るピンポーン。 私は足早に玄関へと向かい鍵を開けて扉を少し広げて顔をひょこっと出すと、見知った顔が私を覗く 「おはよう、流衣ちゃん♪ママは?」 元気良く言った女性はママの友達の幡さんって人だった。 「中で寝てるよ」 って言ったら、幡さんは首を傾げて 「今日、流衣ちゃんの入学式なのにまだ寝てるの?」 「うん」 「おっかしいなぁ、ちょっと上がっていいかな?」 「うん」 「ありがと、お邪魔します」 と、一礼して中へと入っていく。 私は扉を閉めて鍵をかけママの所に行こうとした時、リビングから幡さんの大声が聞こえた。 「小百合さん!!!しっかりして小百合さん!!!!」 ママの名前を叫んでる、起こそうとしてるのかな? と私はママの所に向かって歩いていく。
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