十二話

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「本当に賢者なのかもわからんがな。」 キラの能力を知らないジンとバルサにとってキラの話には確証がなく、アランを止める為の言い掛かりのように聞こえていた。 「賢者自体都市伝説に近いしね。でも、アラン君には話さないでくれないかな」 「どうせ、ばれるぞ。それでもか?」 「ここで止めるって言われたら…困るし」 困った顔で笑うバルサにジンは呆れたように息を吐く。 「ふぅ―あのな、そこまでアランは子供じゃねぇっつーの。まだ14だけど、14の割には大人な考えを持ってる」 「…それでも、賢者と聞いたら誰だってこの件から降りたくなるでしょう?ジンだって例外じゃない」 考える間もなくジンは即答だった。 「そうだな、正直言って負け戦は嫌いだ。負けると分かって向かうのはただの命知らずな馬鹿だ。」 「じゃあ…」 バルサが何かを言いかけた瞬間、バルサの言葉を遮るかのように言葉を被せて来た。 「だがな、何かの信念があるんならそれは馬鹿とは言わねぇ。負け戦にわざと命を懸ける奴は、立派だとは思わねぇ?」 「…俺にしたら、どちらも馬鹿にしか見えないけど。でも、そう言われると救われた気分になるよ。ありがと」 バルサから予想外の感謝をされ、ジンはキョトンと目が点になる。 「……熱でもあるのか、バルサ」 「あーはいはい。礼の一言ぐらいちゃんと受け止めてくれないかなー」 「そうだな、受け止めてやる。バルサは、戦うことに何の意味がある?賢者がいたとしても戦う意味は」 「俺は、知らなくてもいいことを知ってしまったんだ。それを知る者はいないから俺がやらなきゃならない。」  
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