十二話

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「使命というより、責任を感じているんだ…。」 「バルサ…」 「さぁ、もう中に入ろう。早くしなきゃ、いずれ見つかるだろうし」 そう言って笑うバルサに何処か影が見えた。こいつ、一体何があったんだ?賢者がいたとしても戦う意味…それが知らなくてもいいことを知ってしまった責任だ? 何をこいつは知ってしまったっていうだ。この世に何か知ってはいけないものでもあるっていうのか…。 バルサ、お前は…ハクオウの弟子だからといってまだ責任を感じているんだろうな。師が果たせなかったことを代わりに果たそうと… 偽りもないバルサの決意、それをナナも見極め認めた。なのに、俺は未だにバルサを受け入れられずにいる… 何なんだ。この無性に不安が過ぎるこの感覚…気付けば恐怖に怯えている様… 俺は、…一体何に怯えているんだ…? 「ジン?早く入りなよ。」 「あ、ああ…今い――――」 教会の中に入ろうと足を一歩出した瞬間に俺は無音の爆発に巻き込まれ、気付けば空を飛んでいた。 「…なっ!?何がっ――」 宙を舞う体は一時的で、直ぐに重力に従いジンの体は落下する。空中でどうにか体勢を整えたジンは地面に着地すると、騒ぎを聞き付け教会から出て来るアランに怒鳴りを上げた。 「馬鹿っ中に入っとけ!!!」 「何があったんだ!?ジンさん」 ジンの怒りに怯まず、アランはジンの言うことを完全無視してジンの元へ駆け寄った。 駆け寄って来たアランに対し、ジンは突き放すような発言をする。 「聞こえなかったのか、中に入れ。」 「そんな状態のジンさんに言われたら中に入る気にもなれない。」 先程の無音の爆発でジンの体は深い傷を負っていた。  
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