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それは、紛れもなく黒宮である事がわかった… 俺は重い荷物を持ったまま黒宮の所へ走った… 「黒宮っ!!」 俺の声に気づいたのか黒宮が顔を上げた… その顔は涙で赤くなっていた… 「拓斗さん…私…ここにい…」 その先を俺は言わせなかった… 俺は黒宮をきつく抱きしめると 「ずっとここにいていいから…」とだけ言った… 部屋に入ってすぐ、俺は黒宮に先に風呂に入る様に言った… いったい何時間、部屋の前でずっと座っていたのかわからないが、黒宮の手は、とても冷たかった… 「拓斗さん…」 と黒宮は俺の名前を呼んだ… 「ん?ちゃんと温まったか?」 「ええ…ご心配おかけしました…」 と微笑む黒宮を見て、あまり笑う事のない俺でさえ、自然と笑う事ができた… 「そういえば、拓斗さんって時々タバコ吸いますよね? ほら、今だってタバコの箱をいじってますよ?」 っと言われて、自分の手元を見ると確かにタバコの箱をいじっていた―
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