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「タバコ…嫌いだったか?」
つい、そんな質問をすると
「タバコは平気です。ただ…」
「ただ?…」
「いまだに名前で呼んでくれない拓斗さんは、どこかよそよそしいです…」
しばらく沈黙が続いた…
(たしかに黒宮とは呼ぶが、宙とは呼ばない―
いや…呼ぶ事をためらっているのか―
何か大切な物をキズ付けてしまいそうで…
それが、怖いのかもしれない―)
なんて事を考えていた…
すると、背中に微かな重みと温もりが伝わってきた―
「イヤ…ですか?」
「イヤじゃない…」
俺はそう言って、黒宮の方を向き、黒宮の両頬をそっと包みこんだ…
「正直、今でも自分の理性を抑えている…
イヤなら…今のうちにやめるが…」
「イヤじゃないです…
この1ヶ月で私が見てきた拓斗さんは、優しくて、冷たくて、だけど俺様な方です。」
「!!」
(まさか、本当の自分をこの1ヶ月という短い時間で見抜かれるとは思ってもいなかった…)
「なら、イヤと言ってもやめない…
いいな?宙…」
「はい…」
ほんのり赤くなる宙の顔を見ながらも、ゆっくりと2人の唇を合わせた…
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