№1

7/7
前へ
/13ページ
次へ
「タバコ…嫌いだったか?」 つい、そんな質問をすると 「タバコは平気です。ただ…」 「ただ?…」 「いまだに名前で呼んでくれない拓斗さんは、どこかよそよそしいです…」 しばらく沈黙が続いた… (たしかに黒宮とは呼ぶが、宙とは呼ばない― いや…呼ぶ事をためらっているのか― 何か大切な物をキズ付けてしまいそうで… それが、怖いのかもしれない―) なんて事を考えていた… すると、背中に微かな重みと温もりが伝わってきた― 「イヤ…ですか?」 「イヤじゃない…」 俺はそう言って、黒宮の方を向き、黒宮の両頬をそっと包みこんだ… 「正直、今でも自分の理性を抑えている… イヤなら…今のうちにやめるが…」 「イヤじゃないです… この1ヶ月で私が見てきた拓斗さんは、優しくて、冷たくて、だけど俺様な方です。」 「!!」 (まさか、本当の自分をこの1ヶ月という短い時間で見抜かれるとは思ってもいなかった…) 「なら、イヤと言ってもやめない… いいな?宙…」 「はい…」 ほんのり赤くなる宙の顔を見ながらも、ゆっくりと2人の唇を合わせた…
/13ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加