料亭志布志で……

2/2
前へ
/318ページ
次へ
「私なら一向に構わんが……」  真弓はにっこり頷く と、 お湯割りの焼酎を片手にして、 っっっと、 赴いたのだった。 「えへへ……。 重三さんお邪魔しますがよっと」  そうは言ったものの、 流石の重三もこれには驚いた。 「重三さん、 お酌するがねぇ」  重三はためらいながら、 そっと杯を差し出した。 「真弓……さん、 私を気にいったのかね?」  重三は 覗き込むようにして、真弓の眼を見た。  真弓は 重三の腕に寄せて 顔を上げると、 重三の目線に合わせた。 そうしてから……、 静かに瞼(まぶた)を閉じた。  重三は辺りをキョロキョロしながら…… ゆっくりと唇を 真弓の唇に重ねようとした、 途端、  真弓は ガックリとうなだれて、 大きないびきを掻(か)き始めたのだった。
/318ページ

最初のコメントを投稿しよう!

85人が本棚に入れています
本棚に追加