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「落ち込む必要はありませんよ。クラネリナさんの“予知夢”のおかげで、私は無事でしたんだから」
「……ありがとう」
「特に何もないようですし、職員室へ行きましょうか」
「うん」
二人が教室から出ようとした、その時だった。
ガタッ
何かが揺れるような音がした。
「えっ……!?」
「どこから、音がしたのでしょうか……?」
驚くクラネリナと耳を澄ます日本。静寂の中で再び音が響いた。
ガタッ ガタッ
「……どうやら掃除ロッカーのようですね」
日本は掃除ロッカーへと近付いた。不安そうな顔をしながらも、クラネリナは日本の後についていった。
何の変哲もないごく普通の掃除ロッカー。その扉に、日本はゆっくりと手をかけた。
――ホラゲーなら、この中に気持ち悪いモノが入っているのがセオリーですね。
――礼拝堂の出来事も考えれば、さっきの怪物かもしれません……。
――少し不安がありますけれど、日本男児たる者、ここは開けますよ……!
意を決し、思い切り扉を開いた。その中には――
「ガタガタガタガタガタガタガタ」
「ひ……人?いや、国?」
横から中をのぞき見たクラネリナが疑問形で呟いた。一方、扉を開けた本人はその人を見た瞬間、肩を震わせながらその名前を言った。
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