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  ドイツはずっと震えていて動く気配が全くなかったので、とりあえず放置しておくことにした。 ロッカーの扉を閉めると廊下に出た。日本から一通り道順を聞くと、クラネリナは職員室に向かって歩き出した。 「くれぐれも、灰色の巨人には気をつけて下さい」 「そっちもね」 クラネリナの背中が見えなくなると、日本は水を求めて辺りをウロウロし始めた。 彼が現在いるのは1階。ドイツがいたのは空き教室で、標識には“予備1”と書かれていた。 1階は基本的に空き教室か特別教室しかない。そのせいか、水道が全くなかった。 ――困りましたね……。殆どの教室に鍵がかかっています。 1階を一通り見て入ることができたのは、第1予備教室と第2予備教室だけだった。 日本が真っ先に行ったのは調理室だったが、鍵がかかっているらしく開かなかった。その他の教室もだいたい同じように開かなかった。残るは二つある美術室なのだが、この調子でいくと開く可能性は薄かった。 と、ふと日本の目に“WC”の標識が入った。 「…………」 日本は男子トイレに入った。 手洗い用の水道には“使用禁止”の貼り紙が貼られている。 「…………」 くるりと振り返ると扉が一つ。開くとそこには至って普通の便座があった。 「…………これも水、ですよね」 あれやこれやと思考を巡らす日本。色々考えた結果、一つの結論に至った。  
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