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  ――コップがありませんでした。 よくよく考えたら、コップがなかったのだ。さすがに手で掬う気になれないし、掬ったとしてもドイツの所まで保てる自信がない。 「……早まるのはやめておきましょう。それにまだ美術室を見ていませんし」 自分に言い聞かせるように言うと、日本はトイレを出た。 第1美術室前。 ここで突っ立ていてもしょうがないと思った日本はドアを勢いよく開けた。 ガラガラガラ 普通に開いた。 「よ、よかった……」 教室に入り、室内を見回す。すると、日本は少しだけ見覚えのあるものを発見した。 「これは……ドイツさんの鞭、でしょうか?」 石膏像の首に巻き付けるかのように、それはあった。手に取り、よく観察するとご丁寧に『ドイツ』と書かれていた。 ――…………。とりあえず持って行きましょうか。ドイツさんのですし。 日本はドイツの鞭を手に入れた。 気を取り直して、日本は水道に近付いた。 幸い、近くに使用された痕跡のない紙コップを発見した。それに水を一杯入れた。若干、怪しい雰囲気を出しているが、何も言わなければ気付かれないだろうと思い、スルーした。 「では、ドイツさんの所に戻るとしますか」 水?を手に入れた日本は、ドイツのいる第1予備教室へと戻った。  
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