122人が本棚に入れています
本棚に追加
* * *
「ドイツさん、お水持ってき……、もう少し、この様子を眺めてましょうか」
掃除ロッカー内で震え続けているドイツ。そんな彼をしばらく眺めることにした日本。心なしか口元が笑っている。
「そろそろ渡しますか。……ドイツさん、どうぞ。粗水ですが……」
「……これは本気に水か?」
日本から受け取った水を見て、ドイツは疑問に思った。
「色的には……恐らく」
「そうか……」
日本独特の曖昧な返事に不安を抱えながらも、ドイツは水を飲んだ。味も喉越しも水そのものであり、少し安心した。
「大丈夫ですか……?」
「ああ。だいぶ落ち着いてきた。ありがとう、日本。取り乱してすまなかった」
「いえ、おかまいなく。ところで、他の皆さんは……?」
「それが、よくわからないんだ……。とにかく必死に逃げて来て、途中ではぐれて……。すまない、整理ができるまで少し待ってくれないか?」
最初のコメントを投稿しよう!