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    *  *  * 「ドイツさん、お水持ってき……、もう少し、この様子を眺めてましょうか」 掃除ロッカー内で震え続けているドイツ。そんな彼をしばらく眺めることにした日本。心なしか口元が笑っている。 「そろそろ渡しますか。……ドイツさん、どうぞ。粗水ですが……」 「……これは本気に水か?」 日本から受け取った水を見て、ドイツは疑問に思った。 「色的には……恐らく」 「そうか……」 日本独特の曖昧な返事に不安を抱えながらも、ドイツは水を飲んだ。味も喉越しも水そのものであり、少し安心した。 「大丈夫ですか……?」 「ああ。だいぶ落ち着いてきた。ありがとう、日本。取り乱してすまなかった」 「いえ、おかまいなく。ところで、他の皆さんは……?」 「それが、よくわからないんだ……。とにかく必死に逃げて来て、途中ではぐれて……。すまない、整理ができるまで少し待ってくれないか?」  
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