花火

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 彼と付き合って一年の月日が流れた・・・。 去年の夏は、多忙の毎日で、気づけば木の葉が色づく季節になっていた・・・。  あれから一年・・・。 いろんな事が変わった。 毎日彼の寝顔を見ながら目覚めて、夜になれば一緒の布団に入り彼の寝息を子守唄に寝る。  今年の花火大会一緒に行けるかな・・・? なんて、ふと心の中でつぶやいた。 ・・・すると神様が私達の頑張りを認めてくれたかのように転がり込んできた話。 『私の上司からの知らせ』である。 「8月某日、チェーン店合同のバーベキュー大会をやる。参加したい者は居るか?」 私は、誰よりも先に手を上げたかった。だけどその時は挙げなかった…。いや、挙げれなかった…。 なぜならその日は、毎年恒例の花火大会があり、店にとって稼ぎ時で、他の人の休み希望も増大するということが容易に予測できたからである。  そこへ… 私の気持ちを察してか、「会場が伊○だ。彼氏が終わる時間は19時だろうから一緒に居られるぞ。」と上司が私に言ってきた。  きっと、私の彼のことを知っていたからわざと言ったに違いない。私は、頬を少し赤らめながら参加を希望することにした。  花火大会当日・・・。 みんなアルコールも入りワイワイ大騒ぎをしている中、 ヒュー・・・ドッカーン!! 花火が打ちあがった。大騒ぎしていたみんなも夜空に咲いた大輪の華を見つめ大声や歓声の声を上げていた・・・。  そんな中、私だけがその花火を見つめ声にならない感情に目から一粒・・・また一粒・・・と涙が溢れ出していた。 それに気がついた彼氏が、私の手を引き人気のない場所へ連れ出してくれた。 彼は、何も聞かず包み込み優しく私の髪を撫でた。 しばらくしてから、彼は私が大好きな“満面の笑み”を浮かべながら・・・ 「いいよなぁー普通に見てもこんなに綺麗な花火を、君は、涙で滲ませて見てる・・・。君が見ている花火はもっと綺麗なんだろうな。」っと言った。 私は、なんだかそんな彼がおかしくて、いつの間にか笑っていた。  いつからだろう・・・ 夜空に咲く大輪の華を見ると、涙を流していたのは・・・ 今でもわからないまま・・・。 だけど、あの日から花火を見ても涙を流さなくなった。それはいつも貴方が私の隣で笑って居てくれるから・・・。 私はもう、涙で滲んだ花火は見れないけど、変わりに恋する花火を、これからもずっーと観てる・・・貴方と―。image=421171249.jpg
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