天才なんて死ねばいい

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そんな言葉はただの自分勝手な惨めなひがみだと分かってはいたが、拓哉はそう言わないとやりきれない想いだった。 生まれた時から実力差がついているなんて理不尽過ぎる。だから、俺も理不尽な事を言うんだと自分に言い訳をしていた。 家も間近に迫ってきた時、左右が住宅の塀だった道が一気に開けて大きな公園が現れた。小さめのグラウンドと芝生に遊具がある公園で、近所の子供達のたまり場となっている場所である。 拓哉は公園の入り口そばにある自動販売機でジュースを買い、公園の中に入って芝生の中のベンチに腰かけた。昼間は賑やかな公園も今は誰もおらず、街灯は拓哉だけを照らし出している。拓哉はジュースを3分の1ほど飲んでから溜め息をついた。今日の試合で登板した時から今までを思い返してみる。打たれたのも悔しいが、何よりツラいのはチームメイトが浴びせた言葉だった。 「お前才能ねぇよなぁ~」 「謙吾を見習え」 「8番にあんなヒット打たれるとか、ダッセー」 「またしばらくベンチを温める日々だな」 チームメイトは半分ふざけて言っているのだが、拓哉の心にはそれらの言葉が1つずつ突き刺さっていた。思い返すとあまりの悔しさと惨めさに涙が出てきて、目にたまった涙の1粒が街灯が照らす芝生の上に落ちた。
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