天才なんて死ねばいい

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「ねぇ、隣座っていい?」 うつむいていた拓哉の耳に、ふいに女の子の声が聞こえた。拓哉が見上げると、そこにはチェック柄のミニスカートの制服を着たショートカットの女子高生が立っていた。街灯が照らすその顔は目が大きくて、かなりの美人だった。手には拓哉と同じようにジュースの缶を握っている。 「べっ、別にいいけど…」 普段男だらけの野球部にいて、クラスの女子ともほとんど会話したことがない拓哉はたじろぎながら答えた。その返事を聞いた女子高生は拓哉の隣に腰を降ろす。そして顔を赤くして目を伏せる拓哉の顔を覗きこみながら言った。 「丸坊主に、太い眉毛、それにエナメルバック……。君、野球部でしょ!その制服は悠善高校かな?」 女子高生の吐息が拓哉にかかる。女子高生は拓哉にとても近いていて、女子独特の匂いもして拓哉の心臓は高鳴っていた。 「そっ、そうだけど…。」 「あー、やっぱり!私って天才~。私、栗山みどりって言うの。アナタの名前は?」 「みどりさん……。えっ、あぁ、俺は佐藤拓哉って言うん……」 「拓哉君ね!よろしく!ところで君、何かショボくれてるけどどうかしたの?」 元々女子と話すのは苦手な拓哉だったが、みどりが一方的に話してくるのでますます落ち着かないでいた。
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