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始まりの日
京都の都心部から少し離れた場所に、
庭付きの少し大きな家がある。
庭の小さな石造りの池には、一匹の鯉がいて、
口をパクパクさせながらのんびりと泳いでいる。
その家の2階で、黒い影がカーテンを引き窓を開く。
朝日が昇る時刻・・・
窓際に座り、春風に少し長めの黒髪をなびかせている眉目秀麗な少年がいた。
彼の名前は、神田那智。
今年で、16歳になる。
那智は、まだ意識のはっきりしていない頭で、朝日で紅く染まった空を眼を細め眺めていた。
彼のベッドには、小さな白猫が気持ち良さそうにスヤスヤと寝ている。
那智は、外の景色から眼を離し、白猫を見ると口元を緩ませ微笑んだ。
白猫は、彼の気配の変化を肌で感じたのか、ピクリと体を跳ねさせる。
その姿を見た彼は、
窓を締め、ベッドに近より白猫の背中を優しく撫でた。
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