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「では,18時にお迎えにあがりますね。旦那様は奏太様との御夕食を楽しみにしておられますよ。では,失礼します。」
メイドは気を使うようにそういうと,一礼してから静かに扉を閉めた。
奏太様と呼ばれた少年は終始無言でメイドに背を向けていた。
扉が閉まる音がしたと同時に静かに歩き出す。
照明は消してあり,薄暗い部屋はとても広く落ち着いた家具で揃えてある。
少年はケースの中からヴァイオリンを取り出すと大きな窓の下まで歩き,座った。
窓からは夏の光が差し込んでいて薄暗い部屋の中で唯一明るい場所となっている。
上からは暖かい日差し床は冷たい大理石と外と部屋の境界線のようなところだ。
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