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僕が呆然としていると少女はゆっくりと口を開いた。
「あの…私がみえるんですか…」
その一言で僕の疑問が確信へと変わった。
彼女は幽霊……
まだ頭が混乱している中,少女の質問に答える。
「見える……けど…もしかして幽霊?」
「わからないんです。空は飛べるし,人には見えないみたいで…。でも,物には触れるんです。」
少女は窓の扉を微かに開け閉めしながら「さっきも音色をもっと聴きたくて壁を通り抜けられるかな?と思ったけどダメでした」といいペロッと舌を出して笑った。
「私を見える人はあなたが初めてです。」
そういいながら僕を見つめる少女の目はなんだか助けを求めているような気がして目が逸らすことができなかった。
そのとき家の前の道路に車が通った。
そこで初めて自分が他人からは一人で喋っているように見えることに気がついた。
目の前の少女を突き返すわけにもいかない。
僕は自然と「とりあえず中に入って」と言っていた。
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