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「おっそーい!
十分くらいで終わらせて来てよ!」
「お前あの光景見てそれ言う!?」
どんだけ理不尽なんだ!?
うわっ…とか言ってたくせに!
とか思ってると──が突然腕を俺の背中に回して、抱きついて来た。
俺も男だし意識せずとも、気が二つの膨らみの当たる腹に重点的に行く。
このままでは……
離れるべきか否か真剣に考えてると、──が少し震えだした。
「よかった……大怪我してなくて……」
よくよく考えてみれば最初から危なっかしい行動だったと思う。
数がなんとなくしかわからなかった状況で二人で向かったんだから。
それだとしてもこれは心配し過ぎだと思うが。
「俺がそうそう敗けるかよ」
と安心させるつもりで震える──を抱き返してやった。
この時点で失敗した。
あいつのことを忘れていた。
「でも……無理しないで……」
と──も腕の拘束を強めてきたのだが、場所が門の側。
つまり先ほどの戦場とさほど離れていない。
よってあいつの部下の連中はもちろん、雷帝もグレンも…あいつもこの状況を見ることができるわけだ。
今さらだが何でそれに早く気づかなかった! 俺のバカ!
どうなったかもうわかっているだろうが、言っておくと、まずあいつに見つかった。
この時点で最悪だが、更に雷帝にもグレンにも見つかった。
さすがにあいつの部下の連中は忙しいため、なんとかなったが……最悪より悪いって何?
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