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「おい!落ち着けって!」
「えっ……ごめん」
俺が──の腕を掴むと、すぐにハッとして、周りを見渡しあいつやグレンがいないのを確認した。
どうやらいるものだと思ってたらしい。
「……………」
なんとなく気まずい空気が流れる。
つーか何であんなテンパってたんだ?
ここは俺が切り出すか…。
「んじゃ行くか」
そう言って俺は森に向かって歩きだした。
「えっ…」
──が驚きと共に声を漏らす。
そりゃそうだ、俺の目的を知らねぇんだから。
俺は一度足を止め、振り向く。
「今から行ってもお前大して楽しめねぇだろうから、絶景見せてやるよ」
とぶらっきぼうに言った言葉を聞くと少しの間、目を見開いた。
ポカーンという表現が合っている気がする。
そしてニッと笑った。
「何だよその顔」
「ネイトがそんなことするなんて初めてだなって。
楽しみだな~ネイトのイチオシの場所~」
「置いてくぞ」
ニヤニヤする──に冷たくいい放ち、俺はまた森へと足を向けた。
ったく喜怒哀楽激しいやつだな。
何かあったか?
………後で聞いてみるか。
「あっ待ってよ~」
──が駆け足で追いかけてくる。
先を行く俺に追い付いたところで俺達は暗く先が見えない森の中に足を踏み入れた。
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