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目の前には……あれだ幻想的な景色的な感じの光景が広がっている。
月光が木々の葉の間からさし……とかそんな光景。
先程まで戦闘が起こっていた場所の近くとは思えないほど静かで、綺麗だ。
隣の──はひたすら、わー、とか、凄いー、と繰り返している。
それでいて顔は楽しげだったり、悲しげだったり……なんなんだこいつ。
「これ?
ネイトイチオシの景色って」
首を傾げて聞いてくる。
まだこの先だ、との簡単な意を込めて、首を横に振る。
──は了解とばかりに頷くと、また目の前の光景に目を移した。
つってもそう遠くねぇし、そろそろ……あっあれだな。
「見えてきたぞ」
と言ったが、もうすぐ近くだ。
──は俺が指した方向を見つめ、意気揚々としている。
期待し過ぎじゃないか?
と思ったが、まぁあれを見ればそれを上回るか、と一人納得した。
さぁそろそろ開けるぞ。
木々に覆われた景色が。
何か柄にもなくわくわくしてきた。
そういえば今日は祭りだからあれも打ち上がるな。
さて…3…2…1…0!
俺達の目の前に広がっていたのは…
「あれ?」
──が気持ちが抜けたような声を出す。
そりゃそうだ、そこだけ見たらそうなるわ。
今いる場所はレイロン中に生い茂る木々で作られた森にくりぬかれたように不自然に存在する草原。
突然そんなものを見せられても、不思議だね、ぐらいしか感想は出てこないだろう。
事実──は戸惑いの表情で見つめてくる。
「上見ろ上」
気づきそうもないから教えてやった。
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