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「わーっ!」
空を見上げた第一声。
語尾を高くしながら放った声は夜空に消えるように取り込まれた。
感激、と言いたげな表情を見た後、俺も頭を上げる。
夜空一面に星々が煌めき、漆黒を飾る。
光が小さくとも大きくともそれぞれが夜にはよく映え互いを邪魔することなく自立している。
ただ一点の月もその中で悠然と存在していた。
言うなれば夜空の王?
要するに凄いわけだ。
すると不意に、ヒュルルルルル、と音がした。
そっちに目を向けてみると、丁度、音の正体が咲き誇っていた。
祭りには定番の花火ってやつだ。
これまた星空と上手くマッチングして感嘆の意しか出てこない。
我ながらいい場所見つけたもんだ。
「綺麗だね。
ありがとネイト」
ったく…無理に笑いやがって…なんでそんな悲しげな表情してんだよ。
「バレバレだぞ」
「えっ?」
俺の一言に目を丸くする。
そして何かあるように俯いた。
「幼なじみをそう簡単に騙せると思うなよ」
お前がいつも言ってることだ。
「ったくお前はいつも一人で溜め込む」
ため息混じりに言う。
「立場上仕方ねぇところもあるかもしれねぇけど少なくとも俺に話せ」
少しは頼って欲しいってのもある。
「何かあったのか?」
今日会ってから抱えていた疑問をぶつけた。
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