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っと、揺れが大きくなりやがった。
封印に災厄が抗っているってことか。
にしても何でこのタイミングだ?
とりあえず俺は駈け上がれ! 考えるのは後だ!
跳ぶようにして階段を蹴り上がる。
時々、飛行型の蛇がやってくるが、草薙剣の一振りで斬り伏せる。
あと少しで頂上というところで、不意に声が聞こえた。
「ぐあっ!」
「邪魔しないでください。
巫女がこんな選択をしたならば私は止めなければなりません」
ただごとではないと感じた俺は階段の影で息を潜め、先の様子を目に入れた。
グレンが言っていたのと同一であろう黒服のやつ。
そいつに抱えられ、気絶しているレース。
蛇に手足が付いたようなやつと、弓を杖にして立ち上がるリッジ。
そして光の束で重力に反し体を浮かせた──の姿。
どんな状況なのか全くわからないが、黒服のやつを倒し、レースを取り戻す。
幸い俺には誰も気づいていない。
「【エクス・アクセル】」
声を潜めて、先程の魔法の強化バージョンを掛け直す。
タイミングを見計らい、黒服のやつが俺に背を向けた瞬間、影から体を出し一直線に斬りかかる。
足音に気付き、振り向くが、特に大きな反応は見せず、服の袖を捲り、両腕に刻まれた召喚陣に手を当て、大量の蛇を呼び出した。
下に群がる蛇とは違い、小さく細長い。
黒服を守るように壁のように折り重なった。
俺を止めるつもりだろうが、甘ーよ!
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