探究の丹求者

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 この世界の魔法──それは魔力を人のイメージで具現化するものであり、それは即ち魔力とイメージ力の高さや的確さによって魔法の威力が変動する事を示す。通常、発生させる事が出来るのは風、火、水、土の4つ。  また、血筋で他のものを使える者がいれば、逆に全く使えない者もいる。例えば、柿崎は雷を発生でき、榊原は魔法を使えない。  榊原も血筋で言えば伝承の《次元魔法》を使える筈だが、血が薄まるにつれて失われたらしい。或いは最初から無かったのか。  どちらにせよ、次元魔法どころか普通の魔法も使えない事を鑑みると魔力が無いのだろう、と言うのが龍崎の見解である。  ただ、榊原は魔法こそ使えないが錬金術においてそのハンデが霞む程の天賦の才がある。柿崎も異常なまでの魔力を持ち、更に家系による雷の発生まで可能な国家の五指に入る程の魔法使いだ。  2人の「天才」に対し、目立つ程の才能が無い為に努力だけで全てを補ってきた龍崎だが、彼は努力を以て第一人者と称される程の研究者となった。最高ランクの魔法使いと錬金術師を、柿崎と榊原を仲間とする程の研究者に。  思いを巡らせる龍崎がふと気付くと、既に煙草の半分は灰になっていた。 「……さてと続きだ、続き……」  龍崎は煙草の火を消すと研究に、伝説への挑戦に再び戻った。
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